時計界の天才たち。独立時計師という存在
現在は時計というと気軽に誰でも購入することができます。1000円前後でありながら驚異的な耐久性能を持つと評判のチープカシオや、デザインが高評価のシチズンQ&Qなど、日常使いにおいて時計に関しては「安かろう悪かろう」がなくなりつつあるようにも感じられます。
もちろん、時計というのはただ時間を確認する道具としてだけで考えるのではなく、その時計に蓄積された技術力や施されたデザインを楽しむというのが時計の本当の楽しみ方です。
そして現在、様々なメーカーが多くの時計を販売していますが、ムーブメントを他社任せにしたり、部品に関しても他社の流用で済ませているメーカーも珍しくはありません。さらにはブランドの名前だけで高値をつけているメーカーがあるのも事実です。
そんな中、ムーブメントはもちろん、文字盤からケースまでを一貫して自らが製造し、なんとネジの一本までも自分の手で製造している「個人」が時計界には存在します。
それが時計界の天才しかその入会を認められない「独立時計師アカデミー」のメンバーたちです。世界に数十人しか存在しない独立時計師たちはどこのメーカーにも所属せずに、その卓越した技術と想像力を用い「個人」として活動しています。彼らの創る時計は正に世界に一つだけの時計であり、価格も安くて1本100万円、高価なものですと一本1億円といった時計もあります。「独立時計師」そして「独立時計師アカデミー」とは一体どのような存在なのでしょうか?
独立時計師アカデミーとは?
独立時計師アカデミー(通称アカデミー)は1984年にスイスで発足しました。「グループに所属しない時計師の国際団体」として活動を開始したアカデミーですが、このアカデミーはただの団体ではなく、アカデミーに加入しようと考えている時計師には厳しい基準が課せられます。
アカデミーに加入するにはまず準会員になる必要があります。準会員になるにはまず、正会員二人の推薦をもらい、バーゼルワールドで自身のオリジナル時計を発表します。その後、2年連続で新作を発表、そしてアカデミー会員の全会一致をもって正式にアカデミーの正会員として迎え入れられます。
アカデミーには世界中で天才と称される時計師たちが在籍しており、フランクミュラーも一時期は在籍していました。しかしフランクミュラーは自身のブランドを設立したため退会。アカデミーの会員資格はグループに属しない個人の時計師であることが条件とされています。
その理由はグループに所属してしまうと、創造される時計がそのグループの方針や戦略に左右されるためです。アカデミーに所属している時計師たちはあくまでも自身の感性に従い、自身の納得のいく道具と部品、デザインを追求する存在である必要があります。
そして彼らの作り出す時計はマニファクチャツールがほとんど。そして先述したように中にはネジの一本から全て自分で作り出す時計師も存在します。そのため彼らの創りだす時計は希少性がとても高く、金額も大きく跳ね上がるのです。しかしその時計が欲しくて待ち続ける愛好家が世界中に多く存在するのも事実です。
アカデミーに所属する日本人時計技師たち
そんな天才たちの巣窟に日本人も2人所属しています。菊野昌宏氏と浅岡肇氏の両氏です。菊野氏は日本人初のアカデミー正会員になった人物で、和のテイストを強く前面に出した個性的な時計を多く発表しています。そして浅岡氏は日本人で初めてトゥールビヨン機構を搭載した複雑腕時計を作成して世界に発表した時計師です。両氏とも高い技術とこだわりを持っており、世界中から注目されている独立時計師です。
▼浅岡肇氏 CHRONOGRAPH
▼菊野昌宏氏 Watchmaking
天才たちの創りだす時計は素晴らしい
独立時計師の創りだす時計はなかなかお目にかかれる作品ではありません。しかし写真や資料だけを見てもその素晴らしさ、美しさは伝わってきます。街中に溢れる時計ももちろん素晴らしいですが、このような時計を一度目の前で堪能してみたいものです。
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独立時計師の時計は技術的は素晴らしい時計が多い
しかしパテック等と比べると仕上げが甘いことも多い
設備や環境が違うから仕方ないけどね
アフターケアも心配だし、その時計師のファンでお金が有り余ってる人が買うべき時計だね