腕時計業界に革命と淘汰をもたらしたクオーツショックの功罪

今や100円ショップでも購入できる腕時計ですが、ほんの数十年前までは腕時計は高級品で庶民にはなかなか手の届かない商品でした。しかし、1969年。腕時計業界を揺るがす大事件が起こります。それがクオーツショックです。 それまで高級品であった腕時計は、これを機に安価に大量生産が可能になり、庶民の腕にも巻かれていきます。そしてそれは同時に、歴史と伝統を持つ老舗ブランドを淘汰していくことになります。今回はクオーツショックの功罪を記していきます。

セイコー シャリオはジョブズが愛した昭和のモダン

2017年春、故スティーブ・ジョブズ愛用のセイコー・シャリオが復刻販売されました。 本物はオークションで480万円で落札され、それで急に知られるようになり、復刻されたようです。 黒のケースに白文字盤、シンプルを極めたウォッチ、なるほど、ジョブズ氏らしい好みでも、腕時計好きが思い浮かべる「シャリオ」とは、ちょっと違う。 シャリオというと、角形に色文字盤、いかにも70年代といった機械式ドレスウォッチでしょう。  これはまさに、シャリオが、機械式からクォーツへの転換期をまたいだモデルだったからです。