2017年春、故スティーブ・ジョブズ愛用のセイコー・シャリオが復刻販売されました。
本物はオークションで480万円で落札され、それで急に知られるようになり、復刻されたようです。
黒のケースに白文字盤、シンプルを極めたウォッチ、なるほど、ジョブズ氏らしい好みでも、腕時計好きが思い浮かべる「シャリオ」とは、ちょっと違う。
シャリオというと、角形に色文字盤、いかにも70年代といった機械式ドレスウォッチでしょう。
これはまさに、シャリオが、機械式からクォーツへの転換期をまたいだモデルだったからです。
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クォーツが普及した70年代のSEIKOそして日本の腕時計は、同時に機械式が頂点に達した時代でした。
クォーツが登場したとはいえ、同じぐらいの価格で、今より安く、国産機械式時計が買える素敵な時代でもありました。
たまにオークションに出る、デッドストックのシャリオには「23000円」といった値札がついています。今だと3、4万でしょうか。
機械式のシャリオは、女性用をベースにしたcal2220ムーブメントが積まれています。
日付や自動巻きや秒針を省いた2針式の小さなムーブ、とは言っても高級機まで積まれた8振動ですが、ケース中央にハメ込み、周囲はさらに薄く、機械式とは思えない薄さと軽さです。
私もシャリオを10年近く使っていました。毎日半分巻くだけで、時刻合わせが全く要らない、好い時計でした。
こんな物が、毎晩7時にCM流してバンバン売れてたんですから。
大衆的なお洒落時計といった位置づけだったシャリオ、そのままクォーツ化されていくわけです。
そして、80年代に入り、70年代の角形・色文字盤の反動で、シンプルになったのがジョブズモデル。
セイコーブランドは廉価版を切り離していくので、ジョブズモデルは「アルバのリキ・ワタナベ」あたりの先祖かもしれません。
天才エピソードに事欠かないジョブズ氏ですが、こういう人はしばしば「身体をしめつけられる」感じを嫌いますね。
彼が愛したシンプルなセーターと、セイコーシャリオは同じだったのでしょう。
もう少し後の年代に生まれていたら、スウォッチのSKINか、カシオのペラに走っていたかも(シンプルなデザインがあれば)。
有名人の腕時計を検索してみたら、ジョブズ以外でシャリオを愛用していたのは蛭子能収氏ただ1人でした。
by:Seiko nano・universe Limited Collection
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