「医学に身を捧げるか、それとも革命の兵士としての務めを全うすべきか、私は苦しんだ。子供の前に置かれたリュックサックには、たくさんの薬と弾薬ケースがつまっている。両方いれていくことはできない。私は弾薬ケースを取り出し、あとはそこに置いていった」
この言葉は、キューバにてフィデル・カストロと共に革命を成し遂げ、その後、ボリビアにて散った、革命家チェ・ゲバラの言葉です。
アルゼンチン人で医師であった彼は、このまま医師をつづけるのか、それとも異国、キューバのためにその身を捧げるのか。葛藤の末、上記のような言葉を残し、革命に身を捧げました。
そんな彼は、どのような腕時計を愛し、使用したのでしょうか?
「英雄達の愛した腕時計」今回は革命家、チェ・ゲバラの腕時計を紹介していきます。
by:チェ・ゲバラ – Wikipedia
目次
■ゲバラの腕時計として有名なものはロレックス
チェ・ゲバラはキューバ革命の戦いからボリビアでの革命闘争まで一貫してゲリラ戦を展開していきました。
圧倒的に数に劣る革命軍が政府軍と真っ向から戦って勝てるわけがないからなのですが、環境の厳しいジャングルを拠点とした戦いでは、より強固で、信頼のできる腕時計が必要でした。
ゲバラはその時の相棒に、ロレックスGMTマスター ref.1675を選択していました。
■GMTマスター ref.1675について
ロレックス GMTマスターref.1675(以下GMTマスター)は、1960年~1980年ごろに制作されたGMTシリーズの2NDモデルです。
特徴的なのが赤と青のツートンカラーのベゼル。なんとなくペプシコーラを彷彿とさせます。
チェ・ゲバラの一生を再現した映画「チェ39歳別れの手紙」では、このツートンのGMTマスターが装着されていますが、一説にはゲバラは黒ベゼルを愛用していたとも言われています。
by:「革命家チェ・ゲバラ」が愛したロレックスGMT 1675
■ゲバラは左腕にGMTマスター、右腕にサブマリーナを装着していた?
また、ゲバラは両腕に腕時計を装着していたという記述もあります。その腕時計は、ロレックスサブマリーナのデイトタイプということらしいですが、明確な写真や資料は残っていないようなので、細かい機種などは解らないのですが、これは戦死した戦友の遺品として遺族に渡そうと思い、身につけていたと伝わっています。
しかし、ゲバラのこの思いは叶えられることはありませんでした。
■キューバ革命初日に装着していたという腕時計。マーヴィン
ゲバラの腕時計といえば、上記のようにロレックスが有名なのですが、実はゲバラは、ロレックス以外にも愛用していた腕時計があります。それがマーヴィンです。
マーヴィンは1850年に創業を開始した老舗ブランドです。実は日本とも古くから馴染みがあり、江戸時代末期に、アメリカ大統領から当時の徳川将軍にマーヴィンの懐中時計が贈られたとの記録が残っています。
一時期は世界中にシェアを広げたマーヴィンですが、1970年代のクオーツショックの影響をうけ、一時はそのブランドに幕を下ろしたのですが、2002年に復活を遂げています。
また、マーヴィンは8という数字に強いこだわりを持っており、文字盤の8の部分には必ず赤の装飾が施されています。マーヴィンはその意味を、創業188年を迎える2038年に公表するとしていますので、腕時計ファンとしては注目です。
日本では知名度がまだ少ないマーヴィンですが、ゲバラはキューバ革命の初日。1958年12月31日にはこのマーヴィンを装着されていたことが確認されており、父親にもこのマーヴィンの腕時計をプレゼントしています。
by:マーヴィン(MARVIN)ISHIDA BEST 正規時計
■ゲバラの時が止まった日
ゲバラは1967年10月8日。ボリビアで政府軍に捕えられました。
チェ・ゲバラという偉大な男を目の前にし、動揺する執行人に対し、チェ・ゲバラはこのように言い放ちます。
「お前の目の前にいるのは英雄でも何でもないただの男だ。撃て!」
金も名誉も欲さず、ただ、自らの信念のために戦った一人の英雄の時はこうして止まったのです。
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