創業1735年。日本人がこう聞くと、なんとなく京都にあるかもしれない、老舗のお店を勝手にイメージしてしまうのではないでしょうか?
しかし、これは京都の老舗料亭でも旅館でもありません。世界で最も古く、そして現存する腕時計ブランドのことです。
そのブランドは一貫して機械式腕時計を創り続け、クオーツ式への変換を拒否しました。それが故に、そのブランドは一度その名前を消失させてしまいます。
その後、空白の期間を過ごし、そのブランドは再び世界に向けてその名を轟かせることになります。
そのブランド名は「ブランパン」決して信念を曲げない最古の腕時計ブランドです。
ブランパンの歴史
ブランパンは1735年、スイスのジュウ渓谷に時計工房を開いたジャン=ジャック ブランパンにより生み出されます。
ブランパンにはこだわりがありました。それは「丸型の腕時計しか創らない」「機械式腕時計しか創らない」という一貫したこだわりです。
これはブランパンが如何に自社の腕時計に自信を持っているかの表れであり、事実、ブランパンは1920年代には世界初の自動巻腕時計を製品化します。さらに1930年代にはこれも世界初である女性用自動巻腕時計「ロールス」を発表。その技術力をいかんなく世界に向けて発信していきます。
その後、ブランパンはブランパン一族の手から離れますが、その勢いはとどまることを知らず、制作本数、売り上げを大きく伸ばしていくのですが・・・
クオーツショックにより姿を消す
順風満帆であったブランパンに大きな危機が訪れます。セイコーが発表したクオーツ式腕時計にシェアを奪われ、ブランパンの経営状況は悪化の一途を辿ります。
腕時計業界を襲った地殻変動にブランパンも耐えることができず、世界最古の腕時計ブランドは一旦、世界からその名を消すことになります。
しかし、ブランパンの消えていた灯に再び火を入れた人物が現れます。それが腕時計業界のカリスマと呼ばれるジャン・クロード・ビバー氏です。
名機「1735」の誕生
ビバー氏はブランパンをはじめ、オメガ、ウブロ、タグホイヤーといったブランドを押し上げる要因をつくった仕掛け人であり、カリスマです。そのビバー氏が最初に目をつけたブランドがブランパンでした。
ビバー氏はブランパンの持つこだわりを徹底させます。「ブランパンはクオーツとは無縁でありその姿勢はこれからも変わらない」として一貫して機械式腕時計を創りつづけます。ビバー氏はクオーツがどれだけ広まろうとも「機械式腕時計の復権は必ず来る」と信じていました。
そしてその予感は的中し、スイス腕時計は劇的な復活を遂げます。そしてブランパンもそのこだわりの中で最高傑作ともいえる機械式腕時計を発表します。それが「1735」です。
「6種類の傑作機構」を兼ね備えたこの機械式腕時計は「シックスマスターピース」と呼ばれ、ブランパン、そして機械式腕時計の復活の狼煙ともいえる製品となったのです。
ブランパンはこれからも歴史の1ページを刻んでいく
長い年月を、創業当時の一貫した姿勢を崩さずに伝統を守り抜くブランド、それが「ブランパン」です。ブランパン創業者のジャック ブランパンにはこういう口癖がありました。
「我々は今、明日の歴史の1ページを刻んでいる」
ブランパンはこれからも、歴史の1ページをその伝統と共に刻んでいくことでしょう。
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